求人票を穴が開くほど読み込んでも、実際に働き始めてから「思っていたのと違う」と感じることがあります。給与も休日もちゃんと書いてあるのに、いざ入ってみると何かが違う。そんな不安を抱えたまま、応募をためらっている方は多いと思います。
この記事では、14年間、求人票を自分の手で書き続けてきた経営者の立場から、求人票の数字だけでは伝わらないことと、面接で確認すべきポイントを具体的に書きます。読み終えるころには、求人票をただ眺めるのではなく、面接で何を聞けばいいのかがはっきりします。
結論から言うと、大事なのは給与や休日の「数字」そのものより、昇給の基準とペース、残業や有給の「運用」です。数字は求人票に書けても、運用は書き手自身も言葉にしづらいものだからです。
根拠は、私自身が求人票を書き続け、数えきれない面接で応募者と向き合ってきた経験にあります。
求人票には、正直に数字を書いてきた
開業してから今まで、求人票には給与・休日・昇給・有給・残業を、できる限り具体的な数字で書いてきました。あいまいな言葉で濁したことはありません。
「アットホームな職場です」「やりがいがあります」。こうした表現を、私は使いませんでした。書いたのは、業務内容と、患者さんとのコミュニケーションを大切にしてほしいという方針だけです。抽象的な言葉より、実際にどんな仕事をするのかを、そのまま伝えたかったからです。
正直に言うと、書きづらいと感じた項目は特にありませんでした。給与も休日も昇給も、決めていた基準をそのまま数字にすればよかったからです。
それでも面接で必ず聞かれた質問がある
ここまで正直に書いても、面接で毎回のように聞かれる質問がありました。「子どもが熱を出したときなど、急に休むことになっても大丈夫ですか」。
この質問は、求人票のどこにも書いていない不安です。給与や休日の数字を見ても、いざというときに休みが取れる職場かどうかまでは、応募者には判断できません。数字を並べただけの求人票では、こうした不安に答えきれていないのだと、面接のたびに気づかされました。
つまり、求人票に書ける情報には限界があります。書き手がどれだけ正直に数字を並べても、実際の運用まで文字だけで伝えるのは難しいのです。
小規模な院ほど、運用はその場で作られる
小規模な整骨院では、就業規則がすべての状況を網羅しているとは限りません。人事担当者がいるわけでもなく、経営者自身がその都度、事情を聞きながら対応を判断しているのが実際のところです。
私自身、急な欠勤の相談には、できる範囲でシフトの融通を利かせるようにしてきました。ただ、これは求人票のどこにも書いていません。書けと言われても、「都度相談」としか書きようがないからです。
だからこそ、面接の場で直接聞くことに意味があります。求人票に書ききれない部分は、経営者に直接聞くのがいちばん早い確認方法です。
昇給は「基準」と「ペース」を確認する
求人票には「昇給あり」「月給◯万円〜」とだけ書かれていることが多いと思います。ただ、これだけでは、何を基準に、どのくらいの頻度で昇給するのかまでは分かりません。
査定なのか、勤続年数なのか。年1回なのか、成果次第で変わるのか。ここが曖昧なまま入職すると、「思っていたより上がらない」というギャップにつながります。面接では、昇給の基準とペースを、遠慮せず具体的に聞くことをおすすめします。
残業と有給は、「書いてある」と「取れる」が別問題
残業の有無や有給日数も、求人票には数字として書かれています。ただ、数字があることと、実際にその通り運用されているかは別の話です。
有給が「取得可能」と書いてあっても、実際に周りが取っている職場かどうかは、入ってみないと分からない部分があります。残業も同様で、「基本なし」と書いてあっても、繁忙期の実態までは求人票だけでは読み取れません。
面接で、実際にスタッフが有給をどう使っているか、残業が発生する時期があるかを具体的に聞いてみてください。答え方一つで、求人票の数字がどれだけ実態を反映しているか、ある程度の見当がつきます。
面接で確認すべき3つのポイント
ここまでの経験から、求人票を見たあと、面接で確認しておくべきことは3つあると考えています。
1つ目は、昇給の基準とペース。何を基準に、どのくらいの頻度で上がるのか。 2つ目は、残業の実態。「基本なし」だとしても、繁忙期にどうなるのか。 3つ目は、有給の消化しやすさ。制度としてあるかではなく、実際に周りが取れているか。
そしてもう一つ、家庭の事情で急に休む必要が出たとき、どう対応してもらえるのかも、遠慮なく聞いていい質問です。多くの応募者が実際に気にしていた点であり、経営者側も、それを聞かれること自体は自然な確認だと受け止めています。
まとめ
求人票の数字は、正直に書かれていれば嘘ではありません。ただ、数字だけでは伝わらない「運用」の部分があります。
昇給の基準とペース、残業の実態、有給の消化しやすさ。この3つは、求人票を読むだけで判断せず、面接で直接確認することをおすすめします。急な休みへの対応も、遠慮せず聞いていい質問です。
求人票は入り口にすぎません。実際にそこで働き続けられるかどうかは、数字の向こうにある運用まで確認して、初めて見えてくるものだと感じています。
なお、この記事は私自身の経営者としての経験に基づく一般的な内容です。実際の労働条件は院によって異なるため、応募先ごとに直接確認してください。


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