コロナ禍で患者数が落ち込み、口座の残高を見るたびに息が詰まった時期があります。
この記事では、経営が厳しくなっていく過程で実際に何が起きたか、潰れていった同業に共通する原因、そして立て直すために取った具体的な行動まで、正直に書きます。読み終えれば、経営が危なくなる前の兆候と、苦しいときに絶対にやってはいけないことが分かるはずです。
結論から言うと、経営が苦しいときほど新しいことに手を出してはいけません。まず現状を数字で正確に把握し、無駄な支出を削ることが先です。
根拠は、14年間の経営のなかでコロナ禍の資金繰り危機を経験し、融資の依頼や紹介依頼、移転による固定費削減で実際に立て直した経験そのものにあります。
コロナ禍、患者数の落ち込みから資金繰りが厳しくなった
うちの経営が厳しくなった最大の要因は、コロナ禍でした。患者数が落ち込み、それまでの経営のペースでは立て直すのが難しくなっていきました。
整骨院の売上の多くは保険請求(療養費)に紐づいています。来院数がそのまま請求額に直結する構造のため、患者数が落ちれば売上もほぼ同じ比率で落ちます。一方で、家賃や人件費といった固定費はそのまま残る。数字のバランスが崩れ、資金繰りが厳しくなるまでにそう時間はかかりませんでした。
「そのうち戻る」と楽観していた時期もありましたが、患者数の戻りは想定より遅く、資金は目に見えて減っていきました。この段階でどう動くかが、その後の経営を大きく左右したと感じています。
資本力のある競合に、広告戦略で太刀打ちできずに潰れていく同業を見てきた
自分の店だけでなく、周りで潰れていった同業の整骨院にも共通点がありました。多店舗展開している資本力のある競合が、ネットを含む広告戦略を大きく仕掛けてきます。個人経営の整骨院は、そこに集客の面で太刀打ちできなくなっていく。
広告費をかけられる店舗は新規患者を取り込み続けられますが、かけられない店舗は既存患者の来院頻度だけに支えられる状態になります。この差は、コロナ禍のような外的要因で患者数全体が落ち込んだときに、より顕著に表れました。資本力の差が、そのまま経営の耐久力の差になっていたと思います。
経営が苦しいときほど陥る罠 ― 目先の支払いに追われて新しいことに手を出す
ここが一番伝えたいことです。経営が苦しくなり、特に資金繰りが悪化しているときは、目の前の支払いのことしか頭が働かなくなります。そして、その状況を打開しようと新しいことに手を付けたくなる。
しかし、これは危険な判断です。資金が足りないときに新しいことへ投資すれば、かえって資金の流出を招き、余計に苦しくなります。焦りから動いた一手が、次の資金繰りをさらに悪化させる。この悪循環に陥りかけたことが、自分自身にもありました。
新しいことを始めるべきかどうかは、資金に余裕があるときにこそ冷静に判断できます。苦しいときの判断は、たいてい視野が狭くなっているものです。
資金繰りを立て直すために実際にやったこと
自分が実際にやったことは3つあります。
1つ目は、信用金庫への融資の依頼です。開業時の日本政策金融公庫だけでなく、事業を続けるなかで信用金庫とも関係を持っておいたことで、コロナ禍という局面で相談先を増やせました。複数の金融機関と付き合っておく大切さは、整骨院の開業資金調達、助成金を知らずに公庫750万円だけで開業した私が今なら見直すことにも書いています。
2つ目は、既存の患者への紹介依頼です。広告費をかけられない以上、いま来てくれている患者との関係を頼るしかありません。紹介は新しい広告よりコストがかからず、しかも信頼を伴った状態で新規患者につながる。
3つ目は、移転による固定費の削減です。売上が落ち込んだ状態が続くなら、固定費そのものを見直す必要があります。家賃の負担を減らすことは、資金繰りの土台を立て直すうえで、特に効果が大きいと感じています。物件選びで気をつけるべき点は整骨院の物件選び、内見時13万円が契約直前に14万円へにまとめています。
経営が厳しいと感じたら、まず何をすべきか
もし今、経営が厳しいと感じているなら、まず現状を正確に把握することをお勧めします。どれだけの資金が残っていて、毎月どれだけ出ていっているのか。数字を曖昧にしたまま動くと、判断を誤りやすい。数字を一人で把握しきれないなら、税理士に相談するのも一つの手です。整骨院の税理士選び、決算申告だけで年9万円が15万円に。14年間同じ税理士に頼み続けている理由も参考にしてください。
そのうえで、無駄な支出を抑えることが先です。新しいことに手を広げるのは、状況を立て直したあとで十分。順番を間違えると、余計に苦しくなります。
まとめ
コロナ禍で患者数が落ち込み、資金繰りが厳しくなった経験から学んだのは、苦しいときほど新しいことに手を出してはいけないということです。信用金庫への融資依頼、既存患者への紹介依頼、移転による固定費削減。この3つで立て直しましたが、どれも「まず現状を把握してから動いた」結果でした。
経営が厳しい理由は店舗ごとに違いますが、資本力のある競合に集客面で押される構造と、苦しいときほど視野が狭くなって新しいことに手を出してしまう心理は、多くの同業に共通していると感じています。
なお、この記事は私自身の経験に基づく内容です。経営状況は店舗ごとに異なるため、実際の資金繰りの相談は金融機関や税理士など専門家に直接確認することをお勧めします。


コメント