料金改定のたびに院まで来てくれていた担当者が、ある年から来なくなりました。代わりに届いたのは、更新データの入ったCDが1枚。あとは自分でやってください、ということです。
この記事では、整骨院のレセプトソフト(レセコン)を何で比べて選べばいいのかを書きます。読み終えるころには、見積もりを取る前に自分で決めておくことと、業者に確認する項目がはっきりします。
答えはシンプルで、ソフトを比べる前に「自分の院に必要な機能」を決めることです。どんな施術をしていくのか。保険施術と自費施術の割合をどうするのか。ここが決まれば、比べる相手は自然と絞れます。
根拠は、私自身が比べずに導入した側だからです。2014年の開業時、所属する団体の指定で選ぶ余地がなく、コンピューターとソフトの一式に約130万円を払いました。使い続けて感じた不満を、そのまま判断基準に変えてお伝えします。
レセプトソフトは大きく3つのタイプに分かれる
最初に押さえたいのは、製品名より「提供のされ方」の違いです。タイプによって、お金の出ていき方も、サポートの受け方も変わります。
| タイプ | 費用の出方(一般的な傾向) | 更新・サポート |
|---|---|---|
| インストール型(メーカーから購入) | 導入時にまとまった費用がかかる。保守料が別にかかる場合もある | 訪問、または更新データの配布 |
| クラウド型 | 初期費用は抑えめで、月額料金を払い続ける | オンラインで更新。遠隔でのサポートが中心 |
| 請求団体が指定・提供するもの | 団体によって違う。導入費用を無料とするところもあれば、指定メーカーから購入する形もある | 団体またはメーカーが対応 |
この表はあくまで傾向で、実際の条件は会社ごとに違います。しかも、私が調べた範囲では、料金をホームページで公開しているメーカーはほとんどありませんでした。つまり、ネットで価格を見比べることはほぼできません。見積もりを取って、はじめて比較が始まります。
私は比べていない。団体の指定で、選ぶ余地がなかった
正直に書くと、私はレセプトソフトを比較していません。
開業にあたって、修業先の師匠の紹介で業界団体に入りました。その団体では使うレセプトソフトが指定されていて、会員はそれを導入する決まりです。修業先で使っていたのと同じメーカーのものでした。ほかの選択肢を検討する余地は、最初からなかったのです。
費用は、コンピューターとソフトの一式で約130万円。初期費用全体が約520万円だったので、4分の1をレセコンが占めたことになります。開業資金の全体像は整骨院の開業資金は総額いくら?2014年開業の実額内訳と、かけすぎて後悔した項目にまとめました。
団体に入ること自体が悪いわけではありません。ただ、団体を決めた時点でソフトも決まってしまう場合があります。この順番は、開業前の私には見えていませんでした。
使い続けて感じた不満は、機能とサポートの2つ
130万円を払ったソフトに、私は満足していませんでした。不満は2つあります。
1つ目は機能です。入っていたのは最低限の機能だけでした。レセプトを作って請求する、という本来の役目は果たします。けれども、来院患者の分析機能がありません。どんな患者さんがどれくらい来ているのかを数字でつかもうとしても、ソフトからは出てきません。経営の判断材料がほしくなったとき、レセコンは何も答えてくれませんでした。
2つ目はサポートです。療養費の料金が改定されると、ソフトの更新が必要になります。はじめのうちは、改定のたびに担当者が院まで来て作業をしてくれました。それが次第に、CDを送ってくるだけに変わったのです。対応そのものも、あまり良いとは言えませんでした。
そして、このメーカーはすでにレセプトソフトの事業から撤退しています。高い買い物をした相手が、いつまでも面倒を見てくれるとは限りません。
今なら選ばない。比べる前に、必要な機能を決める
同じソフトを今もう一度選ぶかと聞かれたら、まず選びません。
では何を基準にするか。自分に必要な機能と、費用のバランスです。そして必要な機能は、院によって違います。
保険施術が中心の院なら、請求まわりが確実に動くことが最優先でしょう。自費施術の割合を増やしていくつもりなら、来院患者の分析のように、経営の数字を見るための機能がほしくなります。予約管理や電子カルテまで一体になったものが合う院もあれば、請求だけできれば十分という院もあるはずです。
つまり、ソフト選びは「どんな施術をしていくのか」を決めることから始まります。ここを飛ばして製品を見比べても、機能の多さと価格に目を奪われるだけです。
当時と違い、最近はオンラインで更新やサポートを受けられるソフトもあります。選択の幅は、私が開業したころよりずっと広がりました。だからこそ、先に自分の基準を持っておくことが大切です。
見積もりを取るときに確認したい5つのこと
必要な機能が決まったら、見積もりを取ります。そのとき確認しておきたいのが次の5つです。
- 団体の指定があるか。 請求団体に入る予定なら、入会前に「使うソフトは指定か、自由に選べるか」を聞いてください。私はここを確認しないまま決まりました。
- 数年分の総額はいくらか。 導入費用だけでなく、保守料、更新料、月額料金を足した金額で比べます。初期費用が安くても、月額を5年払えば逆転することがあります。
- 料金改定のとき、更新はどう行われるか。 訪問か、オンラインか、データが送られてくるだけか。追加の費用がかかるかどうかも聞いておきましょう。
- 困ったときの窓口はどこか。 電話なのか、遠隔操作で見てもらえるのか、訪問はあるのか。月末や月初の請求時期につながるかどうかが、実際には効いてきます。
- 将来の変更にどう対応する方針か。 国は療養費のオンライン請求の導入を検討していますが、2026年10月時点で開始時期は決まっていません。決まったときにソフトがどう対応するのか、乗り換える場合にデータを持ち出せるのかは、今のうちに聞いておく価値があります。
できれば2社以上から見積もりを取ってください。1社だけでは、その金額が高いのか安いのか判断できません。
まとめ
私は団体の指定で選ぶ余地がなく、一式約130万円でレセプトソフトを導入しました。機能は最低限で、来院患者の分析もできません。サポートは訪問からCDの送付に変わり、メーカーはその後、事業から撤退しています。
同じ失敗を避ける方法はひとつ。比べる前に、自分の院に必要な機能を決めることです。どんな施術をしていくのか、保険と自費の割合をどうするのか。それを決めたうえで、費用の総額とサポートの中身を確認すれば、大きく外すことはありません。
保険請求そのものの流れは整骨院の保険請求(療養費)、開業前に知っておきたい適正な実務と入金までの現実に書いています。あわせて読んでみてください。
なお、この記事は私自身の経験と、2026年10月時点で調べた情報に基づいています。料金や機能、サポートの内容は会社ごとに異なり、変更されることもあるため、導入の際は各社に直接確認することをお勧めします。

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