整骨院の開業資金は総額いくら?2014年開業の実額内訳と、かけすぎて後悔した項目

開業・経営

開業資金はいくら用意すればいいのか。調べても「500万〜1,000万円」のような幅のある数字ばかりで、自分の場合の見当がつかない。そんな状態で立ち止まっている方は多いと思います。

この記事では、私が実際に開業したときの金額を項目ごとに公開します。読み終えるころには、自分の資金計画に当てはめるための物差しと、どこにお金をかけすぎるとあとで苦しくなるのかがつかめます。

私の場合、初期費用が約520万円、運転資金が約400万円。合計は約920万円です。ただし初期費用には、リースで導入した電療機器180万円を総額で含めています。リース分を除いた、実際に開業時に必要だった現金は約740万円。これを日本政策金融公庫からの借入750万円でまかない、自己資金はゼロでした。

金額の出どころは、2014年12月に開業した私自身の実績です。賃貸の物件で、施術者は私1人。受付、電話対応、清掃、予約調整、会計といった日常業務は、受付スタッフ2人に任せる体制でした。先に言っておくと、この金額は「かけすぎ」でした。その理由まで、正直に書きます。

開業資金の総額は約920万円だった

結論から書きます。私の開業資金は、初期費用と運転資金を合わせて約920万円でした。

内訳は次のとおりです。

項目 金額
敷金(家賃14万円の物件) 45万円
内装工事 75万円
施術機器(電療機器のリース総額180万円を含む) 250万円
広告費 20万円
レセコン・レセプトソフト(一式) 130万円
初期費用の小計 520万円
運転資金(約6か月分) 400万円
合計 920万円

リース分180万円は契約時に現金で払うわけではないので、開業時に用意した現金は、520万円から180万円を引いた340万円と運転資金400万円で、合わせて約740万円です。これを日本政策金融公庫からの借入750万円でまかないました。

なお、これは2014年当時の、私の院の数字です。地域、物件の広さ、体制によって金額は大きく変わります。物価や工事費も当時とは違うので、そのまま当てはめず、あくまで項目の洗い出しと比率をつかむ材料として使ってください。

一番大きかったのは施術機器の250万円

理由は単純で、整骨院の開業では、機器にお金をかけたくなる心理が働くからです。

初期費用520万円のうち、半分近い250万円が施術機器でした。この金額には、リースで導入した電療機器の総額180万円も含まれています。「これがないと患者さんに選ばれないのでは」「他院にあるものは揃えておきたい」。開業前は、そんな不安が背中を押します。

ところが、実際に使ってみると差が出ました。とくに電療機器は、リースで導入したものの、思ったほど使いませんでした。リースは月々のリース料として毎月の支払いが続くので、使わない機器にも、料金は容赦なく発生します。結果として、リース費用を回収するまでに長い時間がかかりました。

機器選びで大切なのは、施術の中で「毎日確実に使うもの」と「あったら便利なもの」を分けることです。前者は最初から揃える価値があります。後者は、開業して患者さんの傾向がわかってから、必要に応じて足せば間に合います。

敷金45万円と内装75万円、家賃の重さを甘く見ていた

家賃は月14万円、敷金は45万円でした。家賃の3か月強にあたります。

内装は75万円で、これも全体で見れば小さくない出費です。

ここで反省しているのは、家賃そのものです。もっと家賃の安い物件を探すべきでした。家賃は、患者さんが何人来ても来なくても、毎月確実に出ていく固定費です。開業初期は、収入が安定するまでに時間がかかります。その間、固定費が重いほど、運転資金の減りは速くなります。

立地は集客に直結するので、安ければいいという話ではありません。ただ、「この家賃を払い続けても大丈夫か」を、集客が想定より伸びなかった場合まで含めて試算しておく価値は十分にあります。物件選びの考え方は整骨院の物件選び、内見時13万円が契約直前に14万円へで詳しく整理しています。

広告費20万円とレセプトソフト130万円

広告費は20万円でした。開業直後は、まず存在を知ってもらわなければ始まりません。最低限の告知にかける費用は、外せない項目だと考えています。

もうひとつ大きかったのがレセコンとレセプトソフトで、一式で約130万円かかっています。保険請求の事務を効率化するためのものですが、小さくない金額です。導入前に、機能と価格を比べて選ぶことをおすすめします。私自身は所属団体の指定で比べる余地がなかったので、その反省から選び方を整骨院のレセプトソフト比較、団体指定で選べず130万円を払った経営者が今なら確認する5つのことにまとめました。

保険請求は入金までに時間がかかるため、資金繰りにも影響します。この点は、別の記事(保険請求の適正な実務)で詳しく書いています。

運転資金は400万円、約6か月分を確保した

運転資金は400万円で、6か月分ほどを見込んでいました。

なぜそこまで必要なのか。開業して最初の数か月は、収入が安定するまでに時間がかかるからです。家賃、受付スタッフの人件費、毎月のリース料、光熱費など、患者さんが増えるより先に出ていくお金があります。

結果として、この運転資金があったおかげで、慌てて資金を探し回るような事態は避けられました。初期費用をかけすぎた反省はありますが、運転資金を厚めに持っておいたこと自体は、いまでも正しかったと思っています。

一人で開業する場合の考え方は、一人開業の実務にも書いています。

借入は日本政策金融公庫から750万円

資金調達は、日本政策金融公庫から750万円を借り入れました。自己資金はありません。修業時代は月給も安く、貯金をする余裕がなかったからです。

借入の額は、必要な資金から逆算するのが基本です。私の場合は、リース分を除いた現金約740万円を、そのまま借入でまかなう形になりました。借りた分は、当然ながら返済していく必要があります。自己資金がなかったぶん、初期費用をかけすぎると、あとの返済負担にそのまま跳ね返ってきました。

融資の申し込み方や、助成金・補助金の活用については、整骨院の開業資金調達、助成金を知らずに公庫750万円だけで開業した私が今なら見直すことで詳しく整理しています。

今から開業するなら、こうする

ここまでの反省を踏まえると、私なら次の3つを最初に決めます。

1つ目は、家賃を含む固定費を、最初から低く抑えること。集客が想定より遅れても耐えられる水準にします。

2つ目は、機器の購入を「毎日使うもの」に絞ること。あったら便利なものは、開業後に必要性を確かめてから買い足します。

3つ目は、リースを組む前に、回収に何年かかるかを必ず計算すること。使わなくなっても、契約は続きます。

一方で、運転資金は削らずに確保しておくことをおすすめします。初期費用を絞って、その分を運転資金に回す。この考え方が、開業後の安心感を大きく左右します。

まとめ

私の開業資金は、リース総額を含めて約920万円でした。初期費用が約520万円、運転資金が約400万円。リース分を除いた現金約740万円を、日本政策金融公庫からの借入750万円でまかない、自己資金はゼロでした。

そして、初期費用は「かけすぎ」でした。使わない機器と高い家賃は、開業後もずっと固定費として残ります。

削るのは初期費用と固定費、残すのは運転資金。開業資金を組み立てるときの、いちばんのポイントです。

なお、この記事の金額は2014年当時の私の院のものです。実際の資金計画は、地域や規模、時期によって変わります。融資の条件などは、必ず最新の情報を日本政策金融公庫などの公式案内で確認してください。この記事は一般的な解説であり、法的・税務上の助言ではありません。

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